私がオススメする百合漫画のご紹介です
以下は各巻の感想などに飛ぶためのリンクです。現3巻まで発売中で、小説版は漫画版よりも大人になった彼女たちの物語です
志乃と恋(MFC)
その前に、この作品の特徴を書いときます。百合漫画と一口でいっても、人によってその作品に求めるものが違うと思います。
志乃と恋については、基本的に主人公たち二人がカップルになった後を描いているものです
つまり、少女たちが甘酸っぱい交流を重ねながら、次第にお互いを意識していくようになり……という過程を楽しむ作品ではありません
そういった、少女たちの自分の感情に戸惑ったり、自身の感情が恋愛と結びつかずに思い悩んだり、相手の気持ちが分からなくてドギマギする……
そういった、百合恋愛の過程を楽しみたい方には正直向いていない作品だと思います
ただ、お互いを好きになった少女たちが、その後どのように互いを愛し合っていくのか……を割とがっつり描いているところがあります。
こういう作品は、近年は増えてきたように思いますが、正直昔は恋愛が成就するまでを描いた作品が多く、では彼女たちはその後どうなったのか……? があまり描かれていないことが多かったように思います
それに対し、この漫画はがっつりと恋愛が成就したその後、に焦点を当てた作品です。
特に小説版は、高校生だった彼女たちが大人として社会に出るようになった、環境の違いが焦点になっています……
社会人ゆえに気軽に会えなくなった……という、高校生活を描いた作品では見ることが出来ない心理描写もあったりします
あと、全体的に絵がキレイですね。ストーリーはバッサリいってしまうと若干大味な点もありますが、その分女性が身につけるアクセサリーなどの細かい描写にかなりのこだわりを感じます。
女性ならアクセサリーにもこだわるよな……と感じる人には違和感がない作品でしょう
まあ正直、心理描写が緻密な作品というより、どちらかというと少女たちが愛し合うエッチい描写が多いのですが
そういうエッチい描写を見たいんだよ! じれったい恋模様もそれはそれで好きだけど! という人に特にオススメ
あとエッチい描写が多いとは書きましたが、全年齢対象の漫画なのであくまで全年齢対象の漫画としては……な点には注意(?)
志乃と恋 (MFC)
この漫画には珍しく、大人しい性格の少女志乃と、男勝りな性格の少女恋が、まだ恋仲ではない場面や、まだ付き合い始めたばかりゆえに初々しい描写が目立ちます。
また、志乃が男性にナンパされて困っているところを、たまたま通りかかった恋が助けて、二人の恋路が始まる……というエピソードがあります。
正直がっつり志乃と恋に話しかけてくる男性が出るシーンは漫画版では特に限られていますが、百合漫画に男性が出てくること自体が嫌な人にはちょっとつらい場面かもしれませんね。
この辺は多少評価が分かれるでしょう。正直その辺りは個人の好みの範疇ですのでなんともいえません
ちなみにですが、彼女たちの恋愛はクラスメイトには周知されており、クラスメイトから冷やかしこそされますが、一昔の百合漫画では定番だった、周りの子たちに知られたらどうしよう……みたいな葛藤はありません。
そういう葛藤や心理描写を楽しむのも百合漫画の楽しみ方の一つではありますが、それが全てではないということでもあります。
そこで足踏みすると、恋愛描写が進まなくてモヤモヤするなぁという人もいるでしょうし、クラスメイトから祝福(という名のひやかし)をされているのも、同性愛や百合作品などが世間に受け入れられてきた、という一つの指標といってもいいのかもしれませんし
あと、水着を着た志乃が男性の注目を浴びていることに、恋が志乃を独占したくて嫉妬をしたりと、エッチい描写ばかりではなく、しっかりと女性同士の恋愛ゆえに起こるエピソードを入れ込んでいたりしますので、その辺りの嫉妬なんかは百合漫画独特だよなぁ……と感じずにはいられません。
志乃と恋 2(MFC)
第2巻は第1巻以上に恋愛関係が進んでいるため、やはり心理描写というよりは女性同士の恋愛でどのように彼女と彼女が付き合っているのか、という場面の描写が多いです。
心理描写を重んじる人にはちょっと物足りないかもしれまんが、普段とは違って女性同士での恋愛関係になるまでを描くことに終始している作品とはまた違った魅力を感じ取れる機会かもしれません
ちなみに、志乃と恋では普段は恋の方が男勝りでイケイケな性格をしていますが、彼女たちがベッドで愛し合うシーンでは志乃が攻めで恋が受けになる、という関係の最初のキッカケが描かれていたりします。
第1巻だけではどうしてそのようなベッドでの関係性になったのかが不透明だったのが保管されていたりします
あと、「まんがタイムきらら」で連載中の同作者の作品「好都合セミフレンド」のキャラがゲスト出演していたりします。
「好都合セミフレンド」の方は、媒体の都合もあってより恋愛関係になるまでの描写が長いです。この漫画を読んでもう少し恋愛関係になるまでの葛藤だったり、恋愛関係における心理描写が欲しいかも……と感じたら「好都合セミフレンド」を手にとってみるのもいいでしょう。
志乃と恋 3 (MFC)
時は進み……という関係性の変化が感じられる巻です。
恋の兄が登場し、志乃が自分の将来の嫁だと伝えていたりだとか、親に将来自分たちのことを正式に紹介したいといった、高校生から社会へと巣立っていく彼女たちの立場の変化と、それでも変わらない思いを感じ取れます。
さらに、この巻の最後の方ではもう彼女たちは二十歳の女性となっており、少女たちとはいえなくなっています
大人になった彼女たちの関係性の変化と、それでも変わらない一途な思いを見るのが楽しい巻と言えるのではないかと
また、巻末には小説が追加されているのですが、小説という媒体のためか若干漫画版より過激な表現が……いや、漫画版も全年齢対象とは思えないくらいには過激なんですけどね?
よくよく考えて見ますと、こういう風に明確に百合漫画にカテゴライズされる作品でありながら、高校生から社会人まで時間と関係が進んでいく漫画って珍しいのかもしれません
志乃と恋 Future (ファンタジア文庫)
志乃と恋 Future(ファンタジア文庫)
小説版では、彼女たちは完全に社会人です。志乃は高校教師となり、恋はモデルのレンとして活動しています。
舞台は社会人での百合恋愛へと変化しています
高校生同士には高校生同士の、社会人同士には社会人同士の距離感があり、その環境の変化を楽しむことが出来る作品になっています
いかがだったでしょうか
改めていま出ている全巻の回想をしてみると、とにかくこの作品は時間経過が早く、それによる彼女たちの関係性の変化が作中でも如実に表現されています。
同じ人物たちが時間の経過によって、恋愛の関係も変わっていく……という点では割と珍しい作品かもしれません。
そういった作品に触れてみたいという方は、ぜひ手にとって見てはいかでしょうか?
Amazonのアソシエイトとして、雑食亭シムーンの雑記録は適格販売により収入を得ています。
上に戻る